着陸前


 夕闇迫る伊丹を北向きに離陸。旋回し、10分弱で京都上空、15分で名古屋、静岡を過ぎたあたりから降下を始め、25分後には早くも伊豆半島、そして大島にさしかかる頃には、遠くに東京の街の燈が見え始める。

 きれいにきらめく燈を眺めるたびに、仕事上、また、プライベートで大変お世話になった人を思い出す。私の通常の付き合いでは、なかなか知り合えない人なのだが、いろいろ気にかけてもらっていた。

 転勤で香港に赴任し、グループ会社の社長に就任。激務、しかし、それに伴い業績は上昇。誰が見ても、国際派バリバリの企業戦士だった。

 現地で一杯やりながらの夕食時、その戦士が、「嫌なこともたくさんあるけど、夕方や夜間、飛行機から見る、着陸間際のきれいな街の燈をを見ると、もう少し頑張ってみるか・・・という気になるんだよ」と言った。弱みを全く見せないこの人でも、そういう感情を持つのかと、驚いた。しかし、そんな感情を、私に対して口にしてくれることへのうれしさも感じた。

 確かに、あの、宝石箱をひっくり返したような輝きは、一度見れば忘れない。

 
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 本社指示で帰国後、緊張からの開放のためなのか・・・ あっという間に、戦士は旅立ってしまった。家族はもちろんだが、私も呆然と立ち尽くした。

 木更津から浦安へ。ディズニーランドがきれいだ。
 着陸前、東京タワー、レインボーブリッジを見ながら低空での左旋回、そして、羽田へ。今まで何回このコースをたどったのかわからないが、いつもあの時の話を思い出し、涙が出る。そして、私も戦士と同じ気持ちになる。

 駐車場から自分の車に乗り、首都高速へ出るが、すぐに大井料金所の渋滞につかまる。この頃には、さっきの思いが冷め、現実に戻されていることに気がつく。飛行機から眺めた夜景も現実なのに、ここで、「今」に戻される。

 これが、私の弱さかと考えながら、汐留の光り輝くビル群の横を走り抜ける。

 強い志の持ち続け方も、聞いておけばよかった。

(写真は、ビルからの夜景。悪しからず。)

 

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