その標識の意味

 衝突音、金属がすべる音、そして悲鳴に近い声・・・。
単車の転倒に間違いないと思い、現場を確認する前に119番へ通報した。

 目の前のT字路で、乗用車が十分な一時停止をせずに交差点へ進入し、通過中の単車に接触した。道路の真ん中付近に倒れている単車と運転手を目の当たりにし、こちらも気が動転してしまい、何をして良いのか一瞬迷った。足からの出血が尋常ではないので、作業用のロープで太もも付近を縛る。しばらくして、出血も、また、こちらの気持ちも少し落ち着いたところで、タオルで縛りなおしロープを外す。救急車が来るまで、怪我をした本人にも何とかしっかりしてもらわないといけない。間違いなく痛みがあるはずだが、何とか気をそらせようと話しかける。「どこへ行く予定だったの?」「あなたはまったく悪くないから心配するな」・・・。

 長い時間に感じたが、救急車と警察が来るまでの時間はせいぜい5分程度だったらしい。救急隊員が手際よく応急処置を施す。その行動から感じる彼らの使命感は、想像を絶する強さだ。
 受け入れ先もすぐに決まったようで、けが人を収容後、救急車はすぐに出発した。あまりにも現場が近いので、道路に散乱したものを片付け、流れ出てしまった血を、デッキブラシで洗い流す。考えているより怪我が大きいのかも知れないと、改めて具合が心配になった。

 毎日、車を運転している私にとっても、事故は他人事でない。交差点に何気なく立っている「止まれ」の標識は、大体の交差点において、相手側はそのまま通過できるわけだが、この基本的なことを忘れてしまったり、「ま、大丈夫だろ」的な考えで規則を破ってしまう時を、悪魔は必ず見ているはずだ。
 こんなに道路標識を立ててどうするんだ? と思うこともなくはないが、立てられた標識には例外なく「その理由」があることを、ここ数年で理解できるようになった。生意気を承知であえて言わせてもらうが、車を運転するすべての皆さんに、今一度、そこに立っている標識の意味を考えていただきたい。

 怪我をされた方の早い快復を、心より祈っている。
 

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