この支出は戻ってくる

 手元から離れた金が、何か別の事で、結果的に戻って気そうな予感がする時がある。「そんなことはない。思い過ごしだ。いつも通り戻ってこない。」なんて、冷静な時は、予感に終わらないこともある。

 旅先の旅館でくつろぎ、私の部屋の担当になった女中さんと話をしていた。身内の話をしているうちに、昨年、彼女のお父様が亡くなられたことを知った。急だったこと、また、誰もが感じることではあるが、思うように親孝行ができなかったことを思い出したのだろう、涙こそこらえていたが、目を真っ赤にしていた。気の利いた励ましの言葉も見つけられず、自分の不甲斐なさを改めて実感した。

 失礼と思ったが、自分の気持ちを表す方法と信じ、心ばかりの香典を出した。彼女は、その話をしたことを後悔していたが、こちらの気持ちとして受け取ってもらわないと気が済まないので、半ば無理やりに手渡した。厚く礼を言われ、こちらが恥ずかしくなったが、偶然に会った人を襲った不幸に対し、一緒に悲しむ気持ちを持ち合わせていた自分に、少し安堵した。

 翌日、帰宅してからパチンコをしに行った。「今日も多分出ない。だから心配いらない。」と、毎度の独り言を心の中で呟いていたが、「昨日の香典は喜んでもらえたかな? そうだったら、この手の支出は、他の何かで戻って来ちゃったりすることがあるんだよなぁ。そんなことを考えるおれは、やっぱり偽善者だなぁ。まぁ、戻ってこないだろう、心配いらん。」そんな自問自答もしながら、店に入った。

 懐もいつも通り淋しいから、「遊パチ」のシマに入った。どういう理由か知らないけど、1台おきに人がいるから、自分もならって腰を下ろした。

 運良く、1000円で当たりを引き、この種の台特有の連チャンで、ドル箱8分目まで玉が溜まった。「・・・これを換金したら、昨日の支出に見合うぞ。やっぱり戻ってくるんだなぁ・・・。どうする?やめるか??」自分なりに熟慮をしたが、これで昨日の支出を戻してもらったとして、さらに遊戯を続けた。だいたいの場合、そのまま玉が無くなるのだが、この日は、じわじわと玉が増え、1時間ちょっとでドル箱山盛り2つに化けた。昨日のことを思えば、これで十分・・・と考え、換金した。

 財布の中身は増えている。今回の支出で、増やしてもらう理由がないので、夕飯のおかずとビールと梅酒を買い、母にちょっとだけ小遣いを渡し、「差し引きちょうど」とした。

 勝ちは偶然だろうが、私にしてみれば出来過ぎだ。気持ちの余裕がそうさせたのか、喜んでくれた誰か、何かがそう導いてくれたのか・・・?。感慨深いひと時だった。

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