空港にて

 お盆休みも終わりに近い日の夕方、広島空港は里帰りを終え、首都圏に帰る人や家族で満席便が続いた。「次の便への振り替えにご協力いただける方は一万円・・・」のアナウンスに気をひかれながら、母の車いすを押して搭乗口に向かった。

 優先搭乗のため地上職員に車いすを任せ、改札を通過。私達と一緒に小学生5~6年ぐらいの男の子も一緒に飛行機近くまで進んだ。

 後方では、この子の親戚と思われる人たちが手を振っている。子ども一人でも飛行機の旅ができる時代になったが、何故飛行機が飛ぶのか今一つ理解していない私からすれば、子供の一人旅は大したものだと思う。

 待合所が見えなくなったところまで進んだ時、ふとその男の子を見たら、静かに涙を流し、ぬぐっていた。見ていて切なくなったが、きっと楽しい夏休みを過ごすことができたであろう彼がうらやましかった。羽田でも家族が迎えに来ていて、そこで笑顔の再会があることは、簡単に想像できた。

 見送りに出かけるのは全く苦にならないが、見送られるのは苦手。出迎えは好きだけど、出迎えてもらうのはなんだか恥ずかしい。だけど、見送ってくれる人、出迎えてくれる人がいるのは、本当にうらやましい。

 ターミナルの屋上や、誘導路の末端近くのフェンスの外で、飛行機に向かって手を振っている人がいる。遠慮も何もない、手を振るとはまさしくああいうことだ。機内で、それを少し淋しくも、笑顔で眺めている人がいるのだろう。私も同じ気持ちだ。

 広島の地に少しだけ後ろ髪をひかれるような思いを抱きながら、飛行機は大勢の人に見送られ、力強く飛び立った。

 

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