おれの仕事

 休日の朝、母をデイサービスに送り出した後、洗濯機を回し、掃除機をかけ終わったところで電話が鳴った。機械部品の修理の相談だが、話を聞く限り、修復が困難な様子。断るのは簡単だが、一応、品物を見ようと思い、得意先へ出向いた。

 12ミリ厚の平板に、ややこしい形状の部品が色々とくっついている。理由はともあれ、厚み方向と幅方向に湾曲、さらに幅方向には「ねじれ」も2ヶ所ある。本来なら、修整して使う状態のものではない。しかし、新品は短時間では絶対に手が入らないから、どうしてもこれを使いたいと言う。「現状よりはマシな状態にしますが、綺麗には直りませんよ。使用に耐えるかどうかはわかりませんよ。」と再三説明してから、工場に持ち帰った。

 「いつか来た道」で、現物を見れば何をやるべきかはわかる。ただし、期待通りにいくかどうかは別だ。「鍛冶屋もどき」の準備をし、バーナーに点火。鬼の形相・・・とはいかないが、自分でも厳しい顔をしながらやっているのがわかる。無理だと思っていた幅方向の湾曲は、なぜかすぐに直った。難しいかも…と思っていたねじれも、使える程度には修正できた。ただ、予想に反して、厚み方向の湾曲がうまく直せない。局所的に曲がっているのではなく、全体に湾曲しているためだろうか、思うようにいかない。

 困ったな…と思った時、ふと、この部品の使い方を考えた。太いボルト(M16)4本で締め上げるが、その時、この湾曲を元に戻す方向に力が加わることに気がついた。何とかなると思えたので作業を中止し、品物を持って得意先へ戻った。引き取ってから、すでに3時間以上が過ぎていた。

 手をかけた部分はおおむね良好で、品物は所定の位置に収まった。湾曲は、予想通り、ボルトの締めあげとともに解消した。

 得意先は満足して下さった。私自身も、検収を即座にいただけたので嬉しかったが、完全な修理が出来ないまま得意先に品物を手渡したことが、スッキリしない。家庭でやる「日曜大工」の域を脱していない気がしてならない。時間や、取り巻く状況が許さないときは、おっつけ的な仕事もある。それも技術だと思うし、得意先も認めてくれるから、今まで飯を食って来れている。要求に応じて施工する今回の作業も、おれの仕事なのだ。スマートさには欠けるけどね。

 納品を終え帰宅し、コーヒーを一杯飲んだら、早くも母が帰宅した。汗や油で顔が汚れているだろうが、母の前では涼しい顔をする。「ちょっと仕事をしてたんだよ」と言うと、喜んでいる。自分にすれば誰かの真似ごとのようなものだが、この態度が、プロ意識だと信じている。

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