褒めてくれるな

 母の受診のために同行する。車いすで診察室に入り、ベットへの移乗は看護師にも手伝ってはもらうが、私が行う。力任せは否めないが、回数を重ねたこともあり、それなりに要領良くやれていると思う。

 診察を終え、再び車いすへ移乗させる。母に声をかけ、半ば抱っこするように車いすへ座らせる。格好はあまり良くないと思うが、母も体のどこかを痛がることもなく平然としている。様子を見ていたベテランの看護師が、「たいしたものよ。自宅で介護しているの?頑張っているわね。」と言ってくれた。平日の日中、仕事の手を休めて、私のようなガラの悪いタイプの人間が高齢者を連れて受診する姿が珍しいらしい。それも、抱っこしてみたり、要領を得ない変な格好をしてみたりするのだから、なおさらなのだろう。

 母にみっともない思いをさせたくない。同時に、私自身もいい加減な介護をしているとは思われたくない。そう、見られていることは意識している。

 やるべきことはやってはいる。だけど褒めてくれるな。おれは偽善者よ。

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