一抹の寂しさ

 普段は母と私と「すざんぬ」(飼い猫の名前です。念のため。)だけの静かな家だが、トイレ周辺のリフォーム工事のため、この一ヶ月弱の間、常に職人が自宅を出入りし、賑やかな日々を過ごしていた。

 工事は順調に進み、完成予想図と施工が気持ち良いほど合致し、設計者、職人、もちろん私も笑顔の中、引き渡しとなった。

 お互いに礼を言い、玄関先で皆を見送った後、ふと、幼少の頃、親戚が帰った後のことを思い出した。

 3人で住んでいた家に、何人もの親戚が来て、いつもと違う賑わいを子供心に喜んでいた。なぜかご飯がおいしいし、いつも見ているテレビ番組が普段より面白い。人が大勢いることって楽しいものなんだな…と思った。

 賑やかなのもつかの間、親戚が帰って行くのを見送る。バスがカーブを曲がり見えなくなると、いつもの静けさが急に戻ってきた。家に戻りテレビを見ても何となく寂しい。いつもと同じに戻っただけなのだが、先ほどの賑やかさを思い出すと、無性に悲しくなった。そんな気持ちを、玄関先で何十年ぶりかに思いだした。

 寂しくたって死なない・・・ は、私の口癖の一つだが、寂しいのはやはり嫌だなぁ。年をとった証拠なのだろうな。

 

 

 

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